どっちが主役?(変圧と絶縁)
映画やドラマで1人で2役演じている俳優さんをみたりします。
インテリアでは、ソファとベッドの2way、
椅子が収納ケースを兼ね備えていたりと、ありとあらゆるものが
2役も3役もこなしていることに気づいたりします。
弊社が生産するトランス(変圧器)は電圧を“変圧”するのが主たる目的ですが、
実は変圧と同じぐらい、もしくはもっと大切な“絶縁”を兼ねています。
トランスの変圧は入力コイルと出力コイルの2つのコイルを使って
コイルの巻き数比で任意に変圧できると以前に説明しました。
図①
回路図
実際のボビン形状
この方法で変圧するトランスを絶縁型もしくは複巻きと呼び、一般的に良く使われるトランスになります。
1次側巻き線と2次側巻き線を別のボビン、もしくは別の巻枠の中に巻きます。
このように物理的に分離することで、絶縁が成り立っています。
これとは別に、一つのボビンに1次側の巻き線をし、
その巻線の一部を2次側として共有する、絶縁度外視のトランスがあります。
この方式を非絶縁型もしくは単巻きと呼びます。オート式とも呼ばれます。
図②
回路図
実際のボビン形状
絶縁型が“1次側の巻き数:2次側の巻き数”の比で変圧するのに対し、
非絶縁型は“全体のコイル巻き数 : 引き出し線部までの巻き数”の比で変圧します。
1次側、2次側が別れていない=呼び名の通り絶縁されていないトランスになりますが、
1次側の巻線の一部と2次側の巻線を共有できるため、
絶縁型トランスの半分ほどのサイズで製作できるという大きなメリットがあります。
変圧をするときには「絶縁型」を使用することが一般的で、「非絶縁型」が使われるのは稀です。
この「絶縁」とは何が重要なのでしょうか?ビリビリと関係があるかもしれません。
絶縁については次回、詳しく説明いたします。