絶縁状態が安心なワケ?(変圧と絶縁②)
“絶縁”というと人間関係ではネガティブイメージですが、
トランスに関しては“絶縁”がポジティブで安全と安心をもたらします。
今回はトランスの役割である絶縁について説明します。
文字からも構造からもわかるように「縁が切られています」
この「縁を切ってあること」が重要なんです。
電気は発電所で発電されてから、高圧電線で変電所などを経由して
各家庭に分配されています。大きなエネルギーを持っていてかなり危険なものです。
しかしながら、電気製品を使うためにはこの大きなエネルギーから
必要なエネルギーを取り出さないといけません。
絶縁トランスでは、[入力側]と[出力側](使用者側)を分離(絶縁)したまま
必要なエネルギーだけを取り出すことができます。
特に異常状態のときに安全を確保するためには
絶縁型と非絶縁型では大きな違いがあります。
例えば、使用者側(製品側)での故障や誤使用が原因でショート*(短絡)が
発生したときに、絶縁型と非絶縁型では以下のように反応が異なります。
【ショート*(短絡):電気が決められた道を通らないで、
裸の銅線と銅線が接触した部分を近道することにより、大電流が流れる現象のこと】
別の例として、[入力側]のどこかで雷が発生したとします。
雷によるサージ**は[入力側]の回路網に侵入します。
【サージ**とは:雷のせいで大きな電気が突発的に流れること】
絶縁型のトランスではサージは出力側に伝播しませんが、
非絶縁型ではそのまま[出力側]に伝播してしまいます。
伝播したサージもやはり危険で、機器の故障や破損の原因になります。
電気製品を使うときにはしっかりと[入力側]と絶縁されていることが
重要であるとわかっていただけたのではないかと思います。
では何故非絶縁型のトランスも存在するのでしょうか?
安全重視がもちろん最優先なのですが、
どちらのトランスにもメリット、デメリットがあります。
非絶縁型にも長所があるからで、次回は非絶縁型のトランスについて説明します。