三相トランスの仕組み
前回の単相と三相の違いに続き、今回は三相トランスの仕組みについて説明いたします。
(単相トランスについては→ https://www.kamidenshi.co.jp/magazine/1497/)
前回、三相交流は等間隔にズレた3つの相が次々と最大電圧に達することを紹介しました。
波形図の各相を下図の形で各コイルに流すと各コイルは順番に最大電圧に達し、
真ん中のモーターが高電圧のコイルを順に追いかけ、安定的な回転が生じます。
工場等の大型装置の多くは駆動にモーターを使用し、尚且つ、大きな電力が必要なため、
モーターを安定的に回転させられて電力も大きい三相交流は非常に相性がいいです。
工場には欠かせない三相交流ですが、電力源とモーターを直結させるのは大変危険なうえ、
家電製品と同じく、コンセント電圧そのままでは動かない装置がほとんどです。
そこで装置に合わせた電圧に変圧し、絶縁の役割も果たしてくれるのが三相トランスです。
三相トランスは単相トランスを3つ合わせたもので、昇圧、降圧はもちろん、
変圧せず絶縁目的のみで使われるケースもあります。
結線にはスター(星形・Y)結線と、デルタ(三角・Δ)結線があり、それぞれ特徴が異なります。
入力・出力それぞれの結線の組み合わせで、基本的には下表のように4つのパターンに分かれます。
同じ装置に三相トランスを使用する場合でも、昇圧か降圧か、励磁電流高調波や接地等をどう考えるかで結線方式が決定されます。それぞれの結線方式による特徴は、次の通りです。
用途に合わせて自力で結線されるといったパターンもありますが、弊社は各結線の他、三相入力から二相出力に変換するスコットトランスや三相入力から単相出力を取り出す逆V字結線など、少し特殊なトランスもご対応可能です。
結線のみならず、大きくなりがちな三相トランスの形状・サイズもお客様の製品に合わせてカスタムさせていただきます。